和菓子職人が皮から手作りする極上あんまん
中華まんを愛する和菓子職人が手掛ける中華まん専門店「緋梅」さん。オーナーの菊田さんは、「大好きな中華まんであんこのおいしさを多くの人に知ってもらいたい」という想いで、昨年開業されました。
自家製あんまんが看板メニューの中華まん専門店
菊田さんは、平日は青果仲卸で働く傍ら、月1、2回ほどのペースで間借りやイベントなどで出店。中華まん専門店として、肉まん、豚キムチまんがある中で、あんまんが看板メニューです。材料選びはもちろんのこと、製造、販売まですべてひとりで行っています。もちろん、皮も具材もすべて手作りです。
なぜ中華まんの店を出そうと思ったのかをお聞きすると、「大好きだからです」と満面の笑みで答えてくれる菊田さん。旅先でも、仕事先でも、小腹がすいたとき、肉系、甘い系を問わずいつも中華まん一択。学生の頃、コンビニで仲間がおにぎり、パンやスイーツを食べていても、いつも中華まんを食べていたそうです。「手軽だし、腹持ちがいいし、そして何よりあったかいから」というのがその理由。何より生地と具材の組み合わせが無限大。主食にもなるし、おやつにもなる。起業する前にもベトナムを訪れ、手作りの中華まんを無料で食べてもらう武者修行を経験。いろんな国の食文化やその楽しさを中華まんを通して提案したい。そんな想いから、起業を思い立ちました。
パティシエを目指すも一転、和菓子に目覚めた学生時代
兵庫に生まれ、小学生の頃からお菓子の道を志し、パティシエの夢実現に向けて一直線。自分は洋菓子職人になる。そんな想いが製菓学校で覆ります。少ない種類の材料で季節の繊細な美しさを表現する和菓子の世界に魅了され、両親の実家が金沢だった縁も手伝って、金沢の老舗和菓子店に就職することに。求肥作りからあんこ炊き、上生菓子作りまで様々な工程を担当する中で、あん炊きを5年経験。お茶菓子用、羊羹用、季節のあんこなど、数十種類のあんこを炊いていたそうです。「小豆は植物なので、同じ年度の同じ品種でも豆の状態が微妙に違います。小豆の状態を五感で感じることの大切さを学びました。炊き具合も見極め次第で仕上がりが変わるんです」。あんこの奥深さを知った10年間。和菓子処の金沢で和菓子職人として経験したことが菊田さんの誇りになっています。
つやがある粒あんはふっくら甘い炊きあがり
自家製あんには、十勝産のえりも小豆を使用。大納言ではなくあえて小さい豆を選ぶのは、小麦粉の生地と豆の食感のコンビネーションを考えてのこと。大切にしているのは、口のなかでふわりと甘い風味が広がるようなくちどけのよさ。小豆を水煮した後すぐに糖蜜に移して一晩じっくり漬け込むことで甘さをしっかりと浸透させます。豆の皮の食感を残すためにほとんど混ぜないなど、理想の粒あんを実現するために手間をかけています。菊田さんが考える中華まんに最も適した粒あんは、口のなかでほろりと甘さがほどけていくような食感と小豆ならではの野趣あふれる味。しっかりとした飽きのこないやさしい甘さが余韻となって幸せな気分になれます。
長時間発酵の生地はふっくらもっちりとした食感が自慢
あんこを包む生地は、炊きたてのご飯のようにみずみずしく、小麦粉の香りが感じられます。ふっくらもっちり、しかも食べ応えがある生地を実現するため、8時間以上かけて種を熟成、発酵させます。気温や湿度などの変化にあわせ生地の状態を確認して、一番良い状態になるように工程を調整。「最終的には感覚ですが、ロジックを理解しているからこそ、日々進化することができるんです」。専門学校時代に学んだ製パン理論を生かし、日々研究を重ねているそうです。
高級な白小豆を使用した「白粒あんまん」
「緋梅」さんの中華まんメニューの中でリピーターが多いのが「白粒あんまん」。高級和菓子店で使用される稀少な白小豆を使用。栽培が難しいため生産量が少なく、白餡材料として手間がかかるため、あまりお目にかかることはないだけに超おすすめ。
和菓子の街金沢から、あんまんの魅力を伝える
今は月に1、2回のイベントや間借りでの出店でお客様の色々な声を聞きながら、自分の目指すあんまんに日々磨きをかける毎日。和菓子の街・金沢で、あんこ愛溢れる中華まんを提供する「緋梅」さん。「うちのあんまんを通して、あんこの魅力を若い世代にも伝えたい」と語る菊田さんのあんまんをぜひお試しを!
店舗情報
- 店舗名
- 中華饅頭専門店 緋梅(あけうめ)
- Information
- 週末限定で休日に間借りやイベントに出店中。出店場所や営業時間は随時投稿予定。DMでご予約も可