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フード&ドリンク

【金沢あんこ巡り05】『なかざき生菓子店』の豆大福

創業70年以上、名物の大福の味を受け継ぐ小さな老舗


金沢駅から車で10分ほど、閑静な住宅街の一角に佇むなかざき生菓子店さん。この場所で70年、三代に渡って朝生菓子を提供されています。創業した頃は主に豆大福と草大福を金沢市中央卸売市場に卸していました。いわば大福の専門店。市場に集まる漁業や農業に携わる人たちの腹ごなしに、または県内の八百屋や乾物店などを通して一般家庭にと、幅広く親しまれていました。田植えや稲刈りのなどの農家の繁忙期などは、お店から直接田んぼに配達に行くこともあり、10時のおやつ、15時のおやつタイムを目掛けて出来立てを詰め込んだ箱を届けると農作業に汗を流す方々の間で取り合いになるほどの人気ぶり。農繁期をはじめ、一番売れていた頃は1日1000個以上作っていたこともあったそうです。農作業は今より重労働でした。力仕事の栄養補給にもってこいだったのでしょう。


毎朝3時にボイラーに火を入れるのがはじまり


名物の豆大福作りは、毎朝3時に厨房のボイラーに火を入れることからはじまります。石川県産の餅米を使用し、一晩浸したものを蒸しあげます。強力なボイラーの火力で一気に蒸し上げるため、餅米の風味が損なわれず、石臼で丹念かつ素早くしっかりと搗きあげることで、コシがありながらもやわらい食感に。寒いと餅がかたくなりやすいため、冬は気持ち柔らかめに。天気や気温によって調整してちょうどよい状態で店頭に並べます。


こしと弾力のある餅にあう、こしあん


あんこは、地元金沢の製餡会社から最上級「特赤」の生あんを入荷。生あんに水飴や塩などを入れてこしあんをこしらえる店もありますが、なかざきさんは生あんと甜菜糖のみ。創業してから、生あんと甜菜糖の割合は変えていません。舌ざわりがやさしく、さらりとした口当たり。小豆の風味がしっかりと感じられるこしあんです。


こりっとした食感がたまらないえんどう豆


えんどう豆の存在感が大きいのも、なかざきさんの豆大福の特徴です。ここでも大きなボイラーの威力が発揮されます。強い蒸気で40分。一気に蒸し上げることで皮の食感を残し、絶妙な塩梅に。豆の風味はもちろん、コリっとした食感が損なわれずに素材の良さがそのまま味わえます。なめらかなこしあん、こしのある餅とあいまって、豆の風味味が香り立ちます。餅に仕込んだ能登塩が餅の風味を際立たせ、あんこの甘味はあっさり。ひとつもうひとつと手が出てしまいます。


兄弟分の草大福はあんこ好き垂涎の味


豆大福と人気の双璧をなす草大福は、草餅ならではの自然な風味とやわらかくこしのある餅に、濃厚なコクのある自家製粒あんの甘味が加わり、豆大福とは趣が異った力強い味わい。北海道産小豆の旨味を深く堪能できる野趣あふれる風味はあんこ好きならきっとお気に召すはず。お店を訪れたら、ぜひ手にとっていただきたい逸品です。


変わらない味を守り続けるということ


70年を超えて、地元から愛されるなかざき生菓子店さん。豆大福は最近テレビで紹介されたこともあって、リピーターが急増。中には富山から通うファンもいるほどです。多くの人を虜にするその味は、奇をてらわず、手間をかける熟練の職人の丁寧な仕事で生み出されます。これからもずっと、和菓子の街・金沢で続いてほしいお店です。

店舗情報


店舗名
なかざき生菓子店
住所
石川県金沢市瓢箪町12−45
電話番号
076-221-5554
営業時間
7:00~18:00
定休
水曜
WEB
https://namagashi.storeinfo.jp/
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河原剛

河原剛

プランナー/雑誌編集長

金沢で生まれ、金沢で育つ。大学を卒業後、出版社に入社し、タウン情報誌の編集・営業に携わる。和洋菓子店・ベーカリーをはじめ、小売店、飲食店、サービス業まで幅広いジャンルの雑誌広告や記事の制作、店舗販促のサポートを経験する。現在は、コピーライティング、コンテンツマーケティング、クラウドファウンディングの制作サポートなどに従事。地元金沢のモノづくりを発信するプロジェクトを企画中。

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