ひがし茶屋街の賑やかなメイン通りから一歩はずれると、時間の流れが変わったかように穏やかな空気をまとう裏路地へと入り込む。その一角に、端田敏也さんのお店ができました。
作家 端田敏也さんと器について
1981年 石川県生まれ。2015年から陶芸を始め、白山市にあるご自宅の工房で作陶されています。端田さんの作る器は、陶土と陶石の性質をあわせ持つ半磁器。白釉の器も、ひと目見て「端田さんの器だ」と分かる個性がありながら主張しすぎない絶妙なデザインで、どんなジャンルの料理とも相性がいい。普段使いもしやすい機能美を備える器に、年々ファンが増えている。
伝統的建造物の中に広がる端田さんの器の世界
弁柄塗りの出格子が連なる裏路地で、ひっそりと構える端田さんのお店「ゆたふ」。店内は茶屋の趣を残す造りの中に、真っ白で直線的な什器が置かれている。伝統とモダンが調和した空間で、柔らかな光に照らされた器が浮かび上がるように目に入る。
写真手前に並ぶのは、純銀を上絵焼き付けされた、銀彩の器。ファンが多いオーバルプレートもガラッと印象が変わり、何を盛ろうかと楽しい想像がふくらむ。
店頭には白釉の器を中心に、桜色の器、銀彩の器、一点物の器など、その時々によって表情の違う器が並びます。
真っ白な階段の先に続く 和の空間
真っ白な階段を上っていくと、1階とはまた雰囲気の異なる和室が現れる。畳に置かれた大きな白い什器の上には、さまざまな色合いで美しく表情のある絵付けが施された器が並ぶ。手で作られる器自体にも一点一点表情がありますが、これぞ一点物といえる絵付けの器と出会える空間です。
お店の片隅に散りばめられた遊び心
2階へ上るため靴を脱ごうと目を下すと、階段の手前には羊たちの群れが。近くで見ると、会話をしているかのようで微笑ましい。まだ何か見逃していないかと店内を見渡してみると、ディスプレイ棚の片隅には招き猫。
息抜きで作られたという動物たちは体のラインがなんともリアルで、動いている様子が想像できて、思わず笑顔になってしまう。どなたかのお家に迎え入れられた時にはいない時期もあるかと思いますが、ご来店された時にはぜひ隅々まで見渡してみてください。
ご来店の際は事前の計画が吉◎
営業日は週末を中心に、通常営業とアポイント制の日があるので、営業日時はお店のInstagramからご確認しましょう。
ひがし茶屋街は伝統的建造物群保存地区であることから、地区一帯の建造物の外観が似ています。初めての方は、ぜひ地図をご参考にお店の位置を確認して行ってみてくださいね。
(撮影:平井俊也)