誰でも、打合せ中に表現アイデアが出来上がってしまう!
若いデザイナーは表現案のアイデアを出すのが概ね遅い。早く出せる人でもアイデアの幅が狭い。先輩デザイナーのように打ち合わせ中にアイデアを出せるようなるのは選ばれた人だけなのか…?
クリ絵(26歳)=グラフィックデザイナー歴4年目の向上心旺盛な女性。ようやく担当のクライアントを持ったが、デザイン業界の将来性に不安を持っている。
師匠(55歳)=地方都市でデザイン制作会社を経営するアートディレクター。約20名のクリエイターとともに多くのクライアントの様々な案件に取り組んでいる。
クリ絵:先日、ディレクターの人が「打ち合せ中に頭の中で表現案が出来上がっている」と言っていたんだけど、そんなこと本当にできるんですか?
師匠:ははは…できるよ、経験が5年以上あれば、そんなもん誰でも。
まず、デザイナーやライターは何もないところから見た事もないようなアイデアを創り出してるわけじゃないからね。0.0001%もいないような、本物の天才クリエイターを除いてね。
クリ絵:え〜、クリエイターって、誰も見たこともないような斬新なアイデアをカタチにしているんじゃないんですか。
師匠:そんなアイデア、採用されないよ。見たこともない表現って普通の人にはほとんど評価できないし、理解しにくいものだからね。
クリ絵:そうなんですか。なんだか複雑…。
打ち合わせ中にアイデアを出す方法
師匠:では!打ち合せ中にデザイン案を作る方法を噛み砕いて説明するぞ。
ざっくり言うと、打つ合わせしている案件の課題に合せて、自分の過去に作ったり見たりしたデザインやデザインに関する記憶を組み合わせ、それらをアレンジして、最も効果が発揮できそうな表現案にカスタマイズするんだ。欲しい情報を求めてウェブ検索して、いくつもの情報をコピペして1つの文章に手直しする要領で。
たまにカスタマイズ不要のぴったり当てはまる過去の表現案を思い出そうもんなら「アイデアを見つけた」とガッツポーズさ、心の中で。本当にアイデアを見つけただけだからね。経験豊富なクリエイターなら本命案とちょっと冒険した別案ぐらい軽いものさ。
クリ絵:えっ、そうなんですか。誰にでもできるんですか。
お師匠:そうだよ、誰にでも簡単にできるさ。プランニングでもコピーライティングでもほぼ同じさ。でも、ちゃんとした経験や記憶のない人が作る表現案や企画案はなかなか採用されないけどね。
一人前になりたければ、たくさん仕事をして、たくさん良いものを見て、たくさん本を読んで、たくさん素敵な経験を積んで「頭の中のデータベース」をどんどん更新して、どんな案件にも対応できるようにしていけ、ということかな。
クリ絵が分かったこと
何年かの経験を積めば、誰でも打ち合わせ中に表現プランができるけど、採用される確率を上げるには経験や日々の勉強がものを言う。(でも、何年かしたら案をすぐに出せるようになるなんて、ちょっと嬉しい)